ツボ(経穴)と急所
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●急所と表裏の関係にあるツボ
人間には「急所」と呼ばれる小さなポイントがあり、空手をはじめ武術では、その急所を攻撃することでより効果的に相手を屈服させることは、よく知られている。
ところがこの急所の大半と、マッサージや鍼灸を行うツボが一致しているのである。ただ、すべてが一致しているわけではなく、急所ではあるがツボでないポイントもあるし、ツボではあるが急所ではないポイントもある。
今回は、急所と一致しているツボについて説明したい。
マッサージでのツボと、空手で攻撃を加える部位の急所を心得ておくことは、武道でいう「活法」と「殺法」を心得ることになり、武道の修行にとって大切な要素となるのではないか。
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●ツボ(経穴)とは何か
日本語では、大切なところをうまくとらえている、カンどころをつかんでいる、コツを飲み込む、などの比喩として、「ツボを押さえる」「ツボを心得る」という言い方をよくする。
これらの言葉にあるように、ツボは人間の身体のなかで、とくに大切な場所を指して言う。
マッサージなどの治療を行う際に、ツボに関する知識は欠かせないものであることは多くの人が知っている通りである。膝が痛いときはどこを押せばいいとか、鼻が詰まったときはどこを押さえれば楽になるなど、だれでもいくつかのツボは知っている。
ツボは正式には「経穴」と呼ばれる。現在、世界で公認されているツボの数は全身に361穴あるが、これは「正穴」と呼ばれている。
これらのツボを連結した線は「経絡」と呼ばれていて、人間の身体には14本の経絡が、縦に走っていると考えられている。経絡は血管系ともリンパ系とも、また神経系とも一致していない反応系統である。ある経絡のツボを刺激すると、同じ経絡の別のツボに反応が現れる。
わかりやすくたとえれば、鉄道の路線が14本あって、そこに361の駅があると考えていい。
この361の正穴のほかに「奇穴」と呼ばれるツボがあり、その総数は2000以上あると言われている。奇穴は経絡とは関係なく全身に点在している。
ツボは身体の持つエネルギーの出入口と考えられており、身体の異常が現れる場所であり、治療のポイントでもある。
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●急所とはなにか
急所についても、多くの人がそのいくつかを知っており、またその概念も知っている。
外部からの打撃や刺激、締めなどに弱いところで、古くから空手や武術の攻撃箇所としてあげられている。空手でいえば、その理想とする“一撃必倒”を効果的に狙うポイントである。
柔術で使われている急所の数は140穴あり、そのなかでとくに危険性の高い急所は50穴といわれている。
それらの急所は、打撃や刺激を受けたときの結果によって、つぎの4種類にわけられている。
@痛急所=一瞬の激痛を与えるための急所。親指と人差し指で押さえて攻める箇所で、関節技などに使う。
A麻急所=一時的に麻痺させるための急所。痛急所に比べて深部にあり、関節技などに使う。
B当込急所=当て身(打撃)に使う急所で、相手を仮死状態にするか殺傷するための急所。胸部と腹部に多く存在している。
C活急所=応急手当(活法)に使う急所。背部、胸部、腹部に存在し、当込急所とは表裏の関係にある。
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●ツボと急所の「活法」と「殺法」
ツボと、空手の試合に関係する急所が一致しているポイント40カ所について別図で示した(背部にもツボと急所が一致するポイントがあるが除いた)。
これらのポイントは、ツボとして活用する場合は「活法」であり、その効果は「医効」という。また急所として利用する場合は「殺法」であり、その結果は「武効」という。
それらを活法として使うか、殺法として使うかは、使う人の目的によって変わってくる。
ブリューゲル・アルント・シュルツという学者が定義した「刺激の法則」というものがある。刺激の強さと、神経、筋肉の興奮性との関係について定義したもので、つぎの4段階に分類されている。
A,弱い刺激は、低下して言える神経機能を鼓舞し機能を回復させる。
B,中等度の刺激は、生理的機能を亢進させる。
C,強い刺激は、生理的機能を抑制する。
D,もっとも強い刺激は、機能を停止させる。
これらの刺激の強さは、人によって程度が違うから、数字で単純に示すことはできないから一応の目安である。
このなかで、AとBがマッサージや鍼灸によるツボ刺激であり、Dが武術でいう急所としての効果である。Cはそのいずれにも活用できる効果であるといえる。
たとえば、空手でもよく知られている「水月」という急所は、同時に「巨闕」というツボでもある。このポイントをA、Bの強さで刺激すれば胃の疾患に対する治療となるが、Dの強さで刺激(攻撃)すれば卒倒もしくは気絶させることになる。
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●ツボと急所が一致している40カ所
ツボと急所が一致している40カ所のツボの呼び方と急所の呼び方、位置、医効と武効を説明し、図でその位置を紹介する(背部は除く)。
これらは一読しただけで覚えられるものではないし、専門的に勉強する人以外は、一度覚えてもしばらくすれば忘れてしまう。
ただ、自分や身近の人の疾患や故障の多い部位のツボだけでも覚えておくと、いざというときに役に立つことがある。
また、急所として活用する場合も、これらの急所を全部覚えて頭に入れておいても、正確にそこを攻撃することは至難の技である。そこで、急所の密集している部位やおおまかな位置(数字の部分)をイメージとして頭のなかに入れておくことをお勧めしたい。
ツボ(急所)の大きさは、直径が約8ミリメートルといわれる。
そのツボの位置を説明するのに、1寸、2寸と尺貫法で表記されるが、そのおおまかな目安として、指の横幅で測る簡略な方法がある。
図で示したように、1寸は親指の幅、2寸は人差し指、中指、薬指の3本をそろえた幅、3寸は人差し指から小指までの4本をそろえた幅と覚えておくとよい。
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