書いていても思う、もっと鍼にかかろう、と。
商売柄、目や腕の疲れからくる肩こりは日常的で、さらに座業に伴う腰痛(ゴルフのせいという声もあるが)が、年に一、二度ギックリ腰につながっている。多ければ週三度もマッサージに通うのだが、いよいよいけないとなると、鍼に頼ることになる。
北方謙三氏とも懇意の先生が、麻布十番に治療院を開いていて、私はそこに駆け込む。「もっとふだんからいらして下さい」といわれながらも、つい忙しさにかまけていた自分の不明を、そのたびごとに恥じる。
我が国の鍼灸は安心、安全で、他国では何があっても、見知らぬ鍼灸院にとびこむことはできない。かかりつけになれば、体調の管理まで手伝って下さる。
そうなのだ。書いていても思う。もっと鍼にかかろう、と。
大沢在昌さん(作家)
1956年名古屋市出身。慶応義塾大学中退。79年第1回小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞し、デビュー。91年「新宿鮫」で第12回吉川英治文学新人賞、第44回日本推理作家協会賞長編部門、94年「無間人形 新宿鮫4」で第110回直木賞、2001年「心では重すぎる」・02年「闇先案内人」で日本冒険小説大賞を連続受賞。04年「パンドラ・アイランド」で第17回柴田錬三郎賞、10年第14回日本ミステリー文学大賞を受賞。